2026-05-13(水) ジャズにおける期待と裏切りについて考える


ジャズにおける期待と裏切りについて考える。

今回考えるのは、どうやったら聞いてる人の心が動くんだろうという話です。
まずは、心を動かせる技量を身に付けてから言えという意見は、少し脇に置いといて・・・

音楽の種類にも寄りますが、ジャズには他に比べて「裏切り」の要素がかなり含まれていると思います。

ここで言う所の「裏切り」と言うのは、演奏を聴いている人が「なんと、そう来るか!」と思うような演奏をすることですね。

聞いている人は、この先こんな感じに演奏が展開していくんだろうなとか思いながら聞いていると思います。
これは、本人が意識的に思っているか無意識でそう思っているかはこの際関係ありません。

たぶん、こんな感じの音が出てくるだろうと無意識の中で予測している時に、想定外の音が聞こえてくると、聞いてる側は良い意味での違和感を感じて、「新鮮だなぁ」「素晴らしいなぁ」「カッコいいなぁ」とか思うわけですね。

勿論、「なんじゃこりゃ」「酷いね」「気分悪い」のケースも当然有るとは思いますが・・・

ジャズで多用されるテンションなんかもそれの一部かもしれません。
微妙に調子っぱずれに聞こえる音程が違和感を作る結果、刺激的な音楽に成るってとこですね。

また、転調なんかもそうですね。そっちに行くかぁってやつ。

さて、効果的な「裏切り」を演出するにはどうするべきでしょう?

「裏切られた」と感じるのは、その前に「期待」するからであり、「期待」が大きければ大きいほど、「裏切り」の効果は高くなります。

自分の皿に乗っている美味しい唐揚げを、隣の人に1個あげると言って、相手の顔の前に差し出して、相手が食べる気に成って「あーーん」ってしたのを見てから、おもむろに自分で唐揚げを食べたりしたら、「裏切り」の効果は十分発揮されます。

しかし、自分が貰うと思っていない唐揚げを隣の人が食べてるのを見ても、何も心は動かないでしょう。

何故なら、「期待」してないから。

「裏切り」の効果を最大限に出すためには「期待」させる事が重要です。

音楽的に考えると、こんなケースが有ります。

・似たようなフレーズを繰り返し演奏してから、まったく違うフレーズを演奏する
・これくらいの高音なら出るだろうなと思って聞いている人の想像を超える高音を発生する
・これくらいの声量だろうなと言うのを超える声量で歌う
・これくらいまでは小さい音量で続くだろうなと見せかけて、聞こえないくらいまで音量を下げる
・素直なメロディーが続いた後に、調子っぱずれに聞こえるメロディーを出す。

さて、よくアドリブする時に発生する問題ですが、何か違うことを演奏しなきゃと思う為に、次から次から違うメロディーを演奏するケースって結構多いですよね。
自分が持ってる引出しから、ランダムに、どんどんメロディーを引っ張り出して演奏する感じと言えば伝わるでしょうか?

本人は、次から次から違う情報を提供しているつもりでも、受け手の側から見ると、「期待」が成立しません。
その結果、いろいろやってるけど難解で何が言いたいか分からない演奏が、だらだら続くように感じて、聞く気に成らなくなるというパターンです。

こうなると、アドリブのストーリー性も何も有ったもんじゃないので、聞く側の心は全く動かず無関心を貫くことになります。

でも、簡単なフレーズや同じフレーズを繰り出すのって結構勇気がいりますよね。
また、同じことやってるって思われるんじゃないだろうかって。

でも、「裏切り」の為に「期待」を作り出すためには、簡単なものや繰り返しは必須だと思います。

この辺り、恥ずかしがらずに「ダレ場」を作るのも効果的なんじゃないでしょうか?

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